家事の中でもとくに負担の大きい「掃除」。床の上はもちろん、棚の上や階段、天井、家電周りなど、家の中には細かな掃除ポイントがいっぱいです。その負担を軽くしてくれる最新掃除機は、多機能なものから、超コンパクトなものまでさまざま。今回は家電評論家の奈良巧さんに、掃除機の選び方から、ちょっとツウな使い方までレクチャーしていただきました。
- 家電評論家 奈良巧さん
- 1958年生まれ。出版社で25年間雑誌編集者・記者を勤め、4年前に退職し現在はフリーライターとして活躍。『週刊ポスト』や『女性セブン』『サライ』等で、家電製品の記事を担当。著書に『加齢臭読本』(草思社)がある。

狭い家屋に住む日本人の生活には、平面的(=2D)掃除よりも、立体的(=3D)掃除が重要です。
掃除機はそもそも海外から輸入され普及したもの。海外のような広くフラットな家の中のホコリやゴミをいかに取るかという目的で作られたものなので、平面的な掃除方法しか考えられていませんでした。
私はこうした平面的な掃除を“2D掃除”と呼んでいます。
最近人気のお掃除ロボットは、こうした広い床部分の掃除、つまり“2D掃除”をさせるのには絶大な力があります。しかし、現在の日本の住宅事情を考えると、狭くて段差や隙間だらけの部屋が多く、実はお掃除ロボットだけでは対応できない場所が多いのです。しかも今話題の最新家電は、ホコリを寄せつけやすいものばかり。家電も大事なお掃除対象であることを忘れてはいけません。
このように家の中の隙間やちょっと高い場所、お気に入りの家電周りなど、部屋の立体的な部分を隅々まで掃除するためには、各種掃除機を上手に使い分けることがカギになります。

- 床や廊下など、広いフラットな部分のホコリやゴミを除去すること。
- お掃除ロボットの得意分野。

- 棚の上や階段、家電周り、屋外にある車の中など、立体的な部分を含めた掃除。
- お掃除ロボットでは対応できない場所が多い。
- 掃除機のサイズ、吸引力、コードレスなど、用途と場所によって使い分けると効果的。
お気に入りの家電を長持ちさせる秘訣
電化製品の掃除術
家庭の必需品でもある電気機器は、エアコンやパソコンなどホコリがつきやすいものが多く、まめなケア(掃除)が必要です。ちょっと面倒な気もしますが、しっかりやれば寿命はグンと長持ちします。ここでは掃除機を使った簡単な家電の掃除方法を紹介します。
電化製品の掃除のポイントはコレ
- @パソコンはホコリに弱い
- Aエアコンはまめに掃除をすれば節電&節約ができる
- B実は一番汚れているのが掃除機本体
パソコンはホコリを引き寄せる「吸引機」。
まめに掃除をすれば長持ちする。

パソコンの故障の多くは、掃除をきちんとしていないことが原因であることは意外に知られていません。パソコンの中にゴミが溜り、それらが湿気を含んだり、結露したりすると故障につながります。
ではなぜパソコンにゴミが入るのかというと、パソコンの中にはCPUというものがあり、優秀なパソコンほどCPUは熱を出します。そのCPUを冷やすために、パソコンは作動している間、自ら冷たい空気と共に、掃除機のように空気中のゴミやホコリを吸い込んでいるからです。
そこで、週に一度はパソコン周辺をチェックしましょう。パソコンの空気の出入り口にゴミが溜まっていたら、さっと掃除機をかけてキレイにすることで故障を防げます。このような小さな面を集中して吸い込むためには、小型で吸引力のある掃除機がよいでしょう。
空気清浄機やエアコンも掃除は必須。
快適に作動し、節電対策にもなる。

空気清浄機は、花粉やダニ、アレルギー物質を含んだ空気を吸い込み、きれいな空気を出しています。つまり、内部は汚れやゴミでいっぱい。最近はフィルター掃除の必要ない製品も発売されていますが、適宜フィルター掃除を必要とするものが大半。こまめに掃除機などでキレイにしてあげましょう。
エアコンのフィルターも同様。外して掃除機でホコリを吸い込むか、水洗いをし、ホコリを溜めないよう心がけましょう。効率よく動き、節電・節約にもつながります。
フィルター掃除のために大きな掃除機を出すのは大変なので、軽量でハンディタイプの掃除機が使いやすくおすすめ。
実は汚れやすい掃除機本体。
小型掃除機でスッキリ清掃。

ゴミを吸い取る掃除機本体も、当然汚れやすくなります。フィルターやブラシ、ホースの中などは、とくにホコリが溜まったり、ゴミが絡まりやすい場所。サイクロン掃除機は掃除をする度にゴミを捨てることができたり、ダスト部分を水洗いできるものもありますが、水洗いが難しい部分もあります。そんなとき、もう一台小型の掃除機があると便利。絡まったゴミは、ハンディなどの小型掃除機の細いノズルを使ってさっと吸い取ればOK。または、毛が絡まないヘッドを最初から選べばお手入れが楽になります。きれいな掃除機を使うと気持ちがよいし、ますます掃除が楽しくなります。
コーヒーミルの内部も掃除機でスッキリ
コーヒーミルは豆のカスが残ってしまいがち。残ったカスは酸化し、それらが次に豆を挽いたときに一緒に出てきてせっかくの味が損なわれてしまいます。
専用のブラシを使うよりも、掃除機なら、細いノズルを近づけるだけでぐんぐん吸引してくれるので、ずっと掃除が楽になります。電気で動くナイスカットミルや、手で挽くタイプのミルを使用している人もぜひお試しを。

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充電式とコード式を使い分けよう
縦横無尽掃除術
ゴミというものは、掃除機やコードの問題に関係ないところにも集まってくるもの。
充電式とコードレスを使い分けて隅々までスッキリピカピカにしましょう。
使い分けのポイントはコレ
- @場所を選ばず、どこでも使えるという「手軽さで」選ぶなら充電式のコードレス
- A「軽さ」「吸引力」「コストパフォーマンス」で選ぶならコード式
自家用車の中なら
「充電式コードレス掃除機」。

車はいつもきれいにして気持ちよくドライブを楽しみたい。しかし、車内はあちこち凹凸があり、濡れたタオルなどではなかなか汚れが取れません。自分で車内掃除をするならノズルの小さいコードレスの掃除機がいちばん。最近はモーターの開発も進んでおり、パワー自慢のコードレスタイプもたくさん出ています。ペットや小さな子どもを乗せることが多い家庭はとくに頻繁に掃除をしたいもの。小型のコードレス掃除機を車内に1台常備しておくと便利。
天井の掃除は小回りがきく
コンパクトな「コード式」がおすすめ。

高い場所の掃除はコード式がおすすめ。コードレス式はバッテリーがついている分、重いものが多いので、高い場所や届きにくい場所を掃除する場合には、軽量なコード式の方が負担が小さい。とくに重心が手元にあるタイプの掃除機なら、高い場所でもノズルを上げ下げしやすいのでベター。
階段掃除は、コンセントの位置や掃除の範囲で選ぼう。

階段の掃除は、ケースバイケース。階段の上から下までコードが届くなら、コードありのほうが、掃除機本体が軽いのでラク。コードが届かない場合は、コードなしのほうがコンセントを付け替える手間が省けます。さらに、階段を掃除しながらコンセントを気にせず2階もついでに掃除できるというメリットも。
コード式&充電式掃除機を選ぶときの
ワンポイントアドバイス
小型のコード式掃除機は、するするとコードを巻き取るタイプではないものが多い。コードをしまう場所がないと、掃除をした後コードの置き場所に困ってしまいます。しかし、中にはコードが巻き取りやすい形のもの、または、巻き取る場所がついているものもあるので、選ぶ際にはぜひチェックしましょう。また、コードレス掃除機はバッテリー切れになると使えなくなるのがストレス。バッテリーは2つある方が断然便利。バッテリーが2個付いているものを選ぶか、もう一つオプションで購入しておくことをおすすめします。

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サイクロンと紙パックの使いわけ
サイクロンで快適掃除
吸引力やアレルギー対策で人気のサイクロン掃除機。紙パックと比べどのような点が優れているのか、サイクロンならではの掃除法も交えて教えてもらいました。
サイクロンはココがいい!
- @サイクロンは吸引力が持続。細かいゴミの分離能力も高い
- A毎回ゴミを捨てるので、汚れや臭いがたまらない
- B吸い込んだゴミが見える
花粉対策が気になるなら
自宅の玄関に「置きサイクロン」。

アレルギー対策で大事なことは、できるだけアレルギー原因物質を家の中に持ち込まないこと。おすすめしたいのが、玄関にサイクロン掃除機を置いておく「置きサイクロン」。サイクロンは花粉やハウスダストなど、微細なゴミもしっかり集じん・分離してくれ、さらに排気として出さないため、アレルギー物質を除去するのに適していると言われています。そこで、外から帰ってきたらすぐに部屋に入らず、玄関で洋服の上をさっと掃除機で吸いこみましょう。家の中にアレルゲン物質をもちこまないで済みます。
ペット用は衛生的なサイクロンがおすすめ。
紙パックは、汚れや臭いを溜めやすい。

ペットがいる家庭は、より頻繁に掃除機を使いたいもの。サイクロンならゴミを毎回捨てられるので、ペットの臭いが溜まらないというメリットがあります。ペット用のサイクロン掃除機もあるので、使い分けるのも手。紙パックなら抗菌効果のあるものがよいでしょう。それでも臭いが気になるという人は、じゅうたんに重層をまいてから掃除機をかけて。汚れが取れやすくなり、紙パックの中の消臭効果もあります。
究極のズボラ掃除だが・・・
サイクロンなら「後から仕分け」も。

掃除機をかけていると、ついゴミではないものを一緒に吸い込んでしまうことがあります。とくに、家具の隙間や狭い洗面所などには、ピン止めや輪ゴム、画びょうなどが落ちていることが多いもの。本来ならば、掃除機をかける前に捨てたくないものは取り除いておくべきですが、それが面倒くさいというズボラさんにもサイクロンは強い味方。サイクロン掃除機はダストボックスの中のゴミが外から見えるのも特徴。小さいもので少量ならば、ゴミと一緒に吸い込んでしまい、後からピックアップするということも可能です。
サイクロン掃除機ではない人に
おすすめしたい布団のダニ掃除法
布団のダニ掃除は断然サイクロン。強力な吸引力と分離力で微細なゴミなどを集じんし、しかも排気として外に出さないからです。さらに、通常のノズルだと掃除機がシーツを噛んで吸い込みにくくなるので、布団用のノズルを使うとベスト。 しかし、紙パックの掃除機しか持っていない場合や、本当にゴミを分離しているのか不安、ダニが排気として出ているのではないかと心配という場合は、いっそのこと掃除機を外に出して使うという方法も。布団を室内の窓際に干し、掃除機はコードを延ばして本体ごとベランダに出してそこから吸引。この場合、掃除機の排気口は外に向けておくことが肝心です。そして溜まったゴミはそのまま外で捨てること。これでホコリもダニも部屋にもどることはありません。

ダニが増えやすい季節。
念には念を入れるべし!
奈良巧さんのアドバイス
自宅に高級ワンボックスカーがあったとしましょう。乗り心地も機能も素晴らしいけれど、近所に買い物に行く場合にはちょっと面倒。自転車の方が便利な時もありますよね。掃除機も同じです。ライフスタイルに合わせて、掃除機を選び、使い分ける。すると、使うほどに、さまざまな使い道があることに気づきます。
最後に、掃除機を選ぶときのポイントですが、「吸引力」だけで決めないこと。「取り出しやすく、しまいやすいかどうか」が重要。「使いやすさ」でいうと、ノズルの吸い口が狭い方が、使い道が広がり、吸引力も維持できますよ。