
私が思う理想の家とは、建築、インテリア、エクステリア、これらが三位一体となって互いを引き立たせ、美しく共存していることです。
その上で、共働き夫婦にとってストレスのない家事動線、システマチックな収納、何よりも家族が気持ち良く過ごせる空間を作り上げていきたいと思っています。
部屋作りのテーマは、「冷たい印象になりがちなモダン住宅を、温かくホッとできる居心地良い空間に」。
ベースはガラスやコンクリートなど無機質な素材で直線的なデザインでかっこ良く、そこに木やファブリックなどの温かく柔らかい素材と色使いで、温もりのあるインテリアに仕上げました。
コンクリート+木が生み出す“カッコイイ”玄関
まずは我が家の入り口、コンクリートと木を基調にした玄関です。ドアを開けた正面にはスチール階段があります。左側には造作の木製ベンチとシューズクロークが奥まで続いています。右側の壁にはイタリアporada社のサーフ1ミラーとコートハンガーを。ガラスやスチールなどの異素材を組み合わせることで、北欧風ながら、モダンでかっこいい空間を目指しました。階段の奥のブロックランプはタイマーで自動点灯するので、夜、仕事から帰って玄関に入ると温かい光に包まれてホッとします。
階段を上り、リビングのある2階へ。2階ホールには、幾何学パターンのブルーグレーの壁紙を背景に、ウンベラータとセブンチェアが並んでいます。
インパクトカラーを背景にしたこだわりのキッチン
リビングです。イサム・ノグチのコーヒーテーブルはラグとの相性もバッチリ。このラグのテキスタイルを生かしたくてガラス天板にしたのは正解でした。アイラーセンのサヴァンナソファは、かなりゆったりと座れます。このカクカクした輪郭が際立つよう、あえてアームを通路側に。クッションカバーは、背景のカラーとシンクロしつつもアクセントになるようなものをチョイスしています。
キッチンの壁はマスタードに近いゴールドがかった黄土色。この背景にはブラックが引き立つと改めて感じます。飾り棚に置くものも、楽しみながら選び、並べています。
キッチンは、一からデザインを考え、悩み、設計・建築段階を通して変更と調整の連続だったので、家の引き渡し日には感動で涙目( ;∀;)でした。コンクリートと木の組み合わせをここでも取り入れています。
キッチンハウスのエバルトという商品をベースにカスタマイズしたキッチンは、カラーがリボルノ ベトングレーで、シンク下をオープンにし、ゴミ箱などがおける収納スペースにしました。カウンターテーブルもキッチンと同じ高圧メラミンで作っていただきましたが、メラミンというイメージを覆す高い質感と熱と傷に強い強度、そして掃除のしやすさに大満足です。普段は3人用として使っていますが、この広さがお客様が来た時に真価を発揮します。高さは、お気に入りのヒロシマアームチェアがすっぽりとおさまる仕様に。
広松木工さんのAMICOを二つを並べた食器棚は、キッチンに合わせて高さ850mmに変更。素材はフローリングと同じチェリーです。キッチンで使うためオイル仕上げではなくウレタン塗装にしていただいてます。
リビング隣にあるのが5.2帖の和室。障子の組み木は、無塗装の白木でしたが、リビング側の表部分だけを塗装してインテリアに馴染むようにしました。左壁手前には息子の兜が鎮座している床の間、その隣は収納で上部にエアコンが隠れています。正面の白い壁はプロジェクターを買ったら壁一面で映画が楽しめるんじゃないかと妄想中・・・
夜には、フランク・ロイド・ライトのタリアセンと、広松木工さんのJIWARI-MOONLIGHTが幻想的な雰囲気を作り出しています。
システマチックな収納で快適に暮らす
リビングの隣から出入りできるパントリーです。洗濯機も置いてあり、そのまま洗面室、クローゼットへ続くので扉は常に開けっ放しにしています。リビングで使う文房具、読みかけの雑誌、新聞、学校のプリント類も収納できるようになってリビングがすっきり! 洗面室・トイレ・浴室にも近いのでストック類をすべて収納できるのも良いところ。棚を余すところなく活用できるように、すべて稼働棚で区切っており、上段収納も脚立無しで手が届く限界の2m以内に取っ手を付けたのがポイントです。
ファミリークローゼット兼家事室です。クローゼットは洗面室と浴室の前にあって、朝は洗面室を使って着替えて外出、帰宅後は洗面室で手洗いして着替える、夜はお風呂から上がって着替える又は下着とパジャマを洗面室に持って行く、という一連の導線が想定以上にスムーズで便利でした。正面のブラインドからは屋外の物干し場に出入りでき、雨天時はここで部屋干しもOK。取り込んだ洗濯物は、ここで畳んで、座ったまま収納できるという画期的なシステムになっています。
洗面室にはカウンターを作り、足元にはエアコンを設置。ここでメイクができるようにしました。スツールはkartellのStoneでカラーはスモーク。異素材にすることで変化と立体感を狙ってみました。
“籠り感”のあるプライベートスペース
リビングと和室の間に、子供室と寝室へ続く廊下があります。リビングの梁の高さと揃えるため、二段降りるようになっています。
中へ入ると、一見ロフト付き?と思わせるような低い天井が手前にあり、奥は最大3.6mの勾配天井。この高低差から生まれた抜け感で、4.5畳という狭さを感じさせません。
ガーランド以外のディスプレイはすべて息子任せにしています。天井照明はダウンライトですが、壁面には海賊好きの息子が喜ぶ船舶照明を。その横では、スカイシップがゆっくりゆらゆらと回転しています。
他の部屋がガラス張りでオープンなのに対し、寝室には『籠り感』を求めました。
テレビ横は膨大な量のマンガ本も収納されているのですが、スッキリと見えるように引き出し型本棚にしました。ただ、中に何が入っているのか見えないのが難点・・・これからラベルを付けたりなど、要改善部分です。
カーテンとベッドファブリック周りは“ドラマチック”な雰囲気をイメージ。海外ドラマに出てくるような、モダンでドラマチックな寝室が理想なので、少しでも近づけたらと思いますが、あのスケール感にはなかなか手が届きません。
家族や友人と過ごすウッドデッキ
ウッドデッキができたことで、以前から憧れていた「庭でバーベキュー」の夢がようやく叶いました。
我が家のシンボルツリーイロハモミジの下には照明を設置。点灯するとなんとも情緒溢れる雰囲気になります。
風が通り抜けるウッドデッキから季節の花が咲く庭を眺めていると、時間を忘れてしまうほど心地よくて、遊びに来た友人もつい長居してしまうほど。リビングからウッドデッキを渡り家事室へと回遊できるので、子供達が走り回っています。誰にとっても楽しく居心地のいい、思い描いていた通りの家になりました。
プロフィール
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hakuさん(女性/40代/建築設計・インテリアコーディネーター)
- 建物の種類:一戸建て
- 間取り:4LDK
- 築年数:1年
- 居住人数:3人
- 好きな家具・雑貨店:アクタス、コンランショップ、広松木工、scope
- この家の好きなところ:たくさんありますが、やっぱり居心地の良さ
- この家の悩み:ガラスが多いので掃除が大変
- HP:scale
編集者コメント
大きな窓や広々としたウッドデッキなど、スタイリッシュな佇まいが素敵なhakuさんのお住まいです。
アートなイメージの玄関、インパクトのあるマスタードカラーの壁、細部までこだわったキッチン、モダン風な和室など、見どころたっぷり。外観、内観、建築物が見事に調和し、まるで美術館のような趣きを感じました。
こうしたデザイン性と共に、hakuさんが家作りで一番大切にしたのは、家族が過ごしやすい場所であること。開放感のあるリビング、動線に配慮したシステマチックな間取りなど、毎日をより快適に暮らせる場所こそが目指したものでした。
インテリアでは、コンクリート、ガラス、木など、異なる素材同士を組み合わせているのがポイント。狙い通り、モダンや無機質なものの中に、温もりと心地よさが自然に合わさり、北欧や和のテイストとも違和感なくつながっているように感じました。
今後も、ご家族と共に育っていく家、暮らしの中で生まれるアイデアを楽しみにしていますね。