ふとんの中でも、たくさんの種類がある「掛け布団」。さまざまな種類や素材があって、どれを選んだら良いのかよくわからないという方も多いのではないでしょうか?
今回は掛け布団の大切な役割や、良い掛け布団の選び方をチェック!
季節や気温・湿度に合わせて、自分にぴったりの掛け布団を選びましょう。
掛け布団の役割
誰もが寝室を寝心地の良い環境にしたいと思っていることでしょう。その鍵を握るのは、ずばり温度と湿度です。
快眠に最適な寝室の気温が、季節によって変わるのをご存知でしたか?
夏は25℃、冬は15℃、その中間の20℃は春・秋の寝室に理想的な温度と言われています。
夏と冬では10℃もの差があるのにびっくりしますね。
現代では、家電などで寝室の温度を快適な状態にコントロールすることが簡単になりました。
けれども、熱帯夜に快適な温度に設定して眠ったつもりが、朝起きたら「寝冷え」を起こしていたという経験を持つ方も少なくないはず・・・。
これは、人間の体温が睡眠中に変化することから起きるのです。
レム睡眠にある時の体温は、起きている時よりも0.5℃低くなります。
ノンレム睡眠になると、さらに下がる場合と逆に上がる場合もあって安定しない状態になります。この体温が低下した状態で、眠る前と同じ冷風を当て続けると「寝冷え」を起こしてしまうという訳です。
また、ノンレム睡眠の時に少し体温が上昇したり寝相が悪くてふとんをはねのけてしまったままでいると、体温が低下したところで「寝冷え」を起こしてしまうことも多いのです。
もしエアコンを使うなら、タイマー機能を利用して就寝後1時間でオフ、起床前1時間でオンにすることをおすすめします。
またタオルケットや薄めの肌掛け、ふとんなどを使って冷風が直接身体にあたらないようにすることも大切です。
一方、理想的な室内の湿度は季節を問わず50%から70%と言われています。ということは、湿気の多い日本の夏に快眠を得るためには、湿気を素早く逃がす工夫が大切です。
そこで注目したいのが、ふとんの詰め物の素材です。たくさんの種類があるふとんの詰め物の中でも特に放湿性に優れているのは、天然動物性素材の「ダウン(羽毛)」と「真綿」と言われていますが、今は、こうした羽毛や真綿の放湿性を再現した合繊(ポリエステルなどの素材)のふとんも多く販売されています。
さらに、汗を吸収するベッドパッドを使ったり、マットレスの下がすのこ状になっているベッドフレームを使うことで放湿性を高めることができます。
冬になると、乾燥して寝室の湿度がわずか20%くらいになってしまうことがあります。
寝室にはぜひ加湿器を置いて、理想的な湿度を保つようにしましょう。最近はアロマオイルを加えられるものなどもありますから、リラックス効果も期待できますね。
「寝床内気象」をキープするコツ
快適な睡眠に大切な温度と湿度、寝室全体の他に実はもうひとつ気をつけなければいけない場所があります。
それは寝床内、つまりお布団の中の温度と湿度です。これを「寝床内気象」と言います。身体と寝具の間に出来る小さな空間の理想的な”気象”は、年間を通して温度約33℃、湿度約50%と言われています。お部屋の温度が季節によって10℃も差があることと大きく違いますね。
つまり、ふとんの種類や組み合わせ方で「寝床内気象」を一定にキープすることが大切なのです。
では、具体的にどんな組み合わせが「寝床内気象」を一定に保つのに適しているのかご紹介しましょう。
例えば室温25℃前後の場合は、綿毛布やタオルケットだけで充分です。
20℃前後になると、肌掛け布団などの薄めの布団がちょうど良いと言われています。室温が15℃まで下がってくると、その両方を掛けると快適に感じるでしょう。
室温10℃になるといよいよ厚掛け布団の登場です。
室温5℃の寒い環境では肌掛け・厚掛けの両布団を重ねる必要があります。
このような布団の組み合わせ方で、室温に関係なく床内温度を33℃に保てることが掛けふとんに必要な条件のひとつなのです。
暑い夏でなくても、人は一晩でコップ1杯の汗をかくことは前にお伝えしましたね。
汗をかくと、その放熱効果で体温が下がってしまいます。そんな生理的変化に柔軟に対応出来るふとんこそが「良いふとん」。
そして、寝返りをたくさんうっても身体を包み込んだままで、身体から出る熱を逃がさず体温を保ってくれるかどうかも大切なポイントです。身体を圧迫しない「かさ高性」と優しくなじんで包み込む「フィット性」にも注目して選んでみてください。
「良いふとん」の条件3つ
掛け布団にもさまざまな種類や素材があって、どれを選んだら良いのかよくわからないという方も多いのではないでしょうか?そこで、良い掛け布団には欠かせない3つの条件をお教えしましょう。
@大切な温度を保つ「保湿性」に優れていること。
A適度な湿度を保つ「吸透湿性」が高いこと。
B吸い取った湿気を空気中に発散させる充分な「放湿性」を持っていること。
四季により温度も湿度も大きく変化する日本の気候に左右されることなく、身体と寝具の間に出来る空間の温度と湿度を理想の状態に保つためにはこの条件が欠かせないからです。
一晩の眠りのなかでも微妙に変化する体温や、夏でなくてもコップ1杯分の汗をかく生理的な現象など、人間の眠りは実に繊細なもの。その繊細さに柔軟に対応してくれてこそ良い布団といえますね。
素材的には、ダウンやウールなどを使用した掛け布団は理想的な温度を保ちやすく、真綿などの天然動物性素材は放湿性に優れていると言われていています。 現在の化繊の中でも、その機能を再現するように工夫された商品も多くあります。
またその他にも、身体馴染みが良いフィット性に富んだものや身体に圧迫感がなく軽いものを意識して選ぶようにすれば間違いないでしょう。
掛け布団の選び方のポイント
掛け布団は素材だけでなく、その作りも種類が豊富です。掛け布団のキルティングは大きく3種類に分けられます。
まず1つ目は、「立体2層キルト」。2つの層の縫い目をずらして縫製したキルトです。均一な暖かさが特徴と言われています。
次に、「立体キルト」、立体のマチで仕切ったボックス状のキルトで、保湿性に優れています。そして「平キルト」。薄掛け用に適した全面が格子状のキルトで、耐久性に優れています。
一般的によく使われている掛けふとんとは、厚掛け布団・薄掛け布団・綿毛布・タオルケットといった所でしょう。なかでも薄掛け布団と厚掛け布団があれば、夏は薄掛け、春・秋は厚掛け、冬は薄掛け+厚掛けといった組み合わせ方で、1年中オールマイティに対応できます。最初から薄掛けと少し厚い掛け布団をセットにして2枚掛けとして販売されているものもあります。
1枚掛けの厚掛けは、2枚掛けに比べて肌沿いが良く軽いのが特徴です。断面が分厚いので、空気を含む量が増え保温性がより高まるという利点もあります。使い勝手か、保温性か、好みに合わせて選ぶことができますね。
また、布団を選ぶ時は詰め物の種類や素材だけでなく、側生地にもこだわることが大切です。ポイントは、側生地が無地のものか柄のあるものか。
柄のある側生地だと布団カバーをかけた時に透けて見えてしまうので、布団カバーを選ぶときには気をつけてください。もちろん、柄があるからといってカバーをかけないで使用するのは衛生上よくありません。
また、側生地の織りの細かさにも注意してみてください。生地の織りが細かいと、肌触りが良い、羽毛が飛び出しにくい、ダニの侵入が少ないといったメリットがたくさんあります。特に羽毛などの天然素材の場合は、ほこりなども気になる要素なので、「ダウンプルーフ加工」といって、羽毛が飛び出しにくいように加工されているもののほうが安心です。
まとめ
いかがでしたか。今までご紹介したような特徴を参考にして、ご自分にぴったり合った「良い掛け布団」を選んでくださいね。